以下の項目に該当する方は大腸がんの疑いがあります。
- 腹痛が長期間続く
- 便秘や下痢が長期間続く
- 鮮血便が出るようになった
- 便が急に細長くなった
- 過去2-3ヶ月で急に体重が落ちた
- 横浜市の特定健診で便潜血検査陽性と診断された
- 身内に大腸がんを発症した方がいる
- 過去に大腸ポリープを切除した経験がある
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以下の項目に該当する方は大腸がんの疑いがあります。
大腸がんの多くは腸管内で発症した小さなポリープが徐々に大きくなり癌化したもので、大腸や直腸内の組織に広がっていきます。大腸がんの進行と共に大腸の周囲に存在しているリンパ組織内にも癌が浸潤してます。大腸がんの進行が進めば大腸壁を流れる血管から、肝臓などの他の臓器へ転移する事も知られています。
近年、食生活の欧米化などの影響で大腸がんの罹患率やがんの部位別死亡者数は増加傾向にあります。
大腸がんの発生機序はまだ完全には解明されてはいませんが、APC変異、KRAS変異、p53変異など複数の遺伝子変異が関与していると言われています。少し細かい話になりますが、現在では以下の3経路等が考えられています。
大腸がんは初期の自覚症状を感じにくい特徴がありますが、適切な検査(大腸カメラ検査)を早期に受ける事で大腸がんは予防できる時代となりました。大腸がんで亡くなる方を減らすためには、より早期の段階で発見する事が出来るかどうかが鍵となります。
大腸がんは特に40歳以上では発症頻度が高くなります。40歳以上の皆様は大腸がんに罹らないように定期的に大腸カメラ検査を受診して下さい。
生活習慣(特に食習慣)や遺伝が大腸がんの発症に関わっている事が知られています。
牛肉や豚肉など動物性の赤肉の過剰摂取、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉の過剰摂取、アルコールの過剰摂取や喫煙も大腸癌の発症に深く関わってきます。
また、大腸がんはご家族の病歴とも相関関係があると言われています。ご家族の中に大腸癌を発症された方がいらっしゃる場合は注意が必要です。
大腸がんの種類や大腸癌の発症部位によっても症状は異なりますが、長期間腹痛が続く、鮮血便が出る、下痢と便秘が長期間続く、便が急に細長くなった、残便感を感じる、お腹が張る、体重減少などの症状が発症します。
大腸がんで感じる自覚症状は他の疾患でも診られる症状も多く、自覚症状が感じていても医療機関に受診されない場合もあります。これでは大腸癌の早期発見が難しくなってしまいます。
近年増加傾向にある大腸がんを撲滅する為には、上記のような症状を少しでも感じた際にいかに早く大腸の精密検査を受ける事が出来るかどうかが大切となります。少しでもお腹の不調を感じられましたら、「消化器科」「胃腸科」を標榜する医療機関で精密検査を受診して下さい。
上記に記載したような症状を感じており、大腸がんが疑われる方には大腸カメラ検査で大腸内の精密検査を行います。
大腸カメラ検査では肛門から内視鏡スコープを挿入して、大腸内を直接観察する事が可能です。
大腸がんが疑われる病変があった場合、内視鏡治療適応の病変では十分な観察を行い専門施設での治療を手配致します。
内視鏡での治療が困難と診断された病変では、確定診断をつけるために組織の一部を採取し病理組織診断を行います。
1cm程度のサイズの小さなポリープでは検査時にポリープ切除術を行うことも可能です。当院では快適に大腸カメラ検査を受けていただく為の様々な工夫を行っています。
詳細については「大腸カメラ」ページをご参照下さい。
大腸カメラ検査以外では、排便中の血液の混入有無を確認する便潜血検査、バリウムと空気を肛門から注入してX線で撮影する注腸管造影検査、肛門から炭酸ガスを注入してCT撮影を行う大腸3D-CT検査などが行われる事もあります。
これらの検査で異常を認めた場合は、さらに詳しく調べるために大腸カメラ検査を行います。
便潜血検査は大腸がん検診などで広く行われており、他の検査と比べ精度は劣りますが、最も侵襲の少ない検査となります。
大腸カメラを受けていない方の中で40歳以上の方は、お腹や排便などの症状がなくても、まずは毎年検査を受けることをお勧めします。
大腸がんの治療法は大腸癌の進行度と患者様の体調によって決まります。癌の進行度は、①癌がどれくらいの深さまで達しているか、②リンパ節に転移があるか、③他の臓器に転移しているかの3つの項目(TNM分類)でStage分類を行い、病期にあった最適な治療法を選択していきます。
粘膜層や粘膜下層の一部に限局した早期大腸がんでは内視鏡での治療が可能となります。
金属製の輪(スネア)を用いて病変を切除する方法(内視鏡的粘膜切除術:ポリペクトミー、EMR)が多く行われています。内視鏡の先端から電気メスを用いて行う切除方法(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)ではより大きな病変でも一括切除が可能となります。
内視鏡治療では全身麻酔やお腹を切る必要がないため術中の身体への負担が少なく、術後も腸管はそのまま残るため食事や排便などへの影響は稀です。
内視鏡では切除出来ない深さの早期大腸がんや、他の臓器へ転移が広がっていない進行大腸がんでは手術によりがんを取り除きます。
※肝臓への転移などでは、切除可能な場合は手術を行うこともあります。
お腹を大きく切って開く開腹手術だけでなく、傷が小さく低侵襲な腹腔鏡手術が選択出来る場合もあります。
化学療法には以下の3種類があります。現在は①や②が一般的に行われています。
大腸がんの化学療法では5-FU(フルオロウラシル)を中心にその他の医薬品を組み合わせた療法が活用されます。オキサリプラチンを組み合わせたFOLFOX療法と、イリノテカンを組み合わせたFOLFIRI療法などが中心となります。
症例に応じてベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、アフリベルセプトなどの分子標的治療薬も使用します。その他レゴラフェニブなどの飲み薬もあります。
大腸がんの発生には食習慣が関わってきます。
大腸がんの発症リスクを高める要因として、動物性脂肪を多く含む食べ物の過剰摂取(特に加工肉)・タンパク質を多く含む食べ物の過剰摂取、野菜の摂取不足などの要因が挙げられます。野菜、穀物、豆類、魚類、海藻類、キノコ類をバランスよく摂取するよう心掛けて下さい。
タバコも大腸がんの発症リスクを高める要因であります。ご自身がタバコを吸わなくても、周りからのタバコの煙を吸ってしまう事(受動喫煙)も大腸癌の発症リスクを高めてしまいますので、タバコの煙も避けるよう心掛けて下さい。
過度なアルコールの摂取も大腸がんの発症リスクを高める要因となります。アルコールを飲まれる方は節度のある飲酒を心掛けて下さい。
肥満や運動不足も大腸がんの発症リスクを高める要因となります。毎日決めた時間内でご自身に合った運動を行いましょう。
大腸ポリープは大きく“腫瘍性ポリープ”と“非腫瘍性ポリープ”に分けられます。
炎症性ポリープ、過誤腫性ポリープ、過形成性ポリープなどがあります。一般的には癌化するリスクは低いため治療は不要ですが、腫瘍性ポリープとの鑑別を行うために切除術を行う場合もあります。
過形成性ポリープは非腫瘍性ポリープとして分類されてきましたが、癌化する可能性のある鋸歯状腺腫(SSA/P)というポリープの存在が明らかになってきたため、右側結腸(上行結腸や横行結腸など、大腸の口側の部分)でサイズの大きな病変や、内視鏡で腫瘍性変化を疑う病変では切除術を検討します。
主に腺腫と大腸がんなどがあります。前述の通り選手を介さずに大腸がんへと育つ病変もありますが、多くは正常粘膜に腺腫が出来て育つ過程で癌化することが多いと考えられています。早期大腸がんでも内視鏡治療が可能な病変もありますが、腺腫の間に治療を行うことで大腸がんを予防することが出来ます。
同じ腺腫の治療でも大きく育つ前の方が治療時間も短く、より簡単に切除を行うことができます。
当院では大腸カメラ検査による大腸がんの早期診断を行っております。大腸がんは初期には自覚症状を感じにくく、症状を感じた頃には病状が進行していることも多くあります。しかし近年では大腸カメラ検査の技術水準が向上しており、早期に大腸カメラ検査を受ける事で、大腸がんは予防する事が出来る時代となりました。大腸がんについてご不明点等がございましたら、いつでもお気軽に当院までご連絡下さい。