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「頼れる瀬谷のお医者さん」シリーズ第4弾
<消化器内科医による対談>|
横浜市瀬谷区の田川クリニック

Interview

高度な医療を提供する地域の基幹病院と、患者にとって身近なかかりつけ医(クリニック、医院等)が、それぞれの長所を生かし合いながら診療を行う病診連携。「聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(以下、西部病院)」は、横浜市や大和市、都内の約370のクリニックや10の市中病院と病診連携する横浜市西部の基幹病院だ。今回の対談では、西部病院の黒木優一郎先生(消化器内科/内視鏡部)と、同病院に何人も患者を紹介しているという「田川クリニック」の副院長・田川徹平に、病診それぞれの役割や実際の連携の様子、また連携をスムーズにするための工夫などについて、本音を交えながらたっぷり語っていただきました。(取材日2022年4月6日)

  • 田川先生田川クリニック
    副院長 田川徹平
  • 黒木先生西部病院
    黒木優一郎先生

病院とクリニックが適切な役割分担のもと、患者を紹介し合う

まずは今回の対談を企画した理由についてお聞かせください。

私は開業医としてクリニックで内視鏡検査をしていますが、例えば入院を伴うような治療が必要になった時、どこにお願いするかということは非常に重要です。言い換えれば、安心して治療をお願いできるバックアップがないと、どんなに内視鏡検査を頑張って病気を早期発見できても患者さんのメリットになりません。黒木先生は昭和大学時代の先輩で、昨年(2021年)西部病院に赴任されたことから、高度な治療が必要な患者さんについて直接お願いできるようになりとても助けられています。瀬谷エリアにおける病診連携について、大学病院の立場から話を聞けたらいいなと思い、今回の対談をお願いしました。
西部病院は大学の附属病院として先進的な高度医療を提供するとともに、地域の基幹病院として横浜市西部エリアの医療を担っています。近隣の住民のみなさんの日常的な診療から、クリニックの先生方がお困りの難症例まで幅広く積極的にお引き受けしていますので、私も田川先生からいろいろお聞きできるのを楽しみにして来ました。

クリニックと大学病院では役割が異なるのですね。

いわゆるかかりつけ医という立場のクリニックは、患者さんにとって最初の医療の窓口になるので、このまま様子見でいいのか、すぐに大きな病院で診てもらった方がいいのかを見極め、必要に応じて患者さんを適切な医療機関に振り分ける役目があります。治療が必要な患者さんを見逃さないためにも、ちょっと調子が悪いなという時や、会社の健診で再検査を指摘された時に、きちんと受診してもらえるよう、できるだけ受診の敷居が低くなるよう工夫しています。
がんの場合、ずっと調子悪いだけでなく、途中でちょっとよくなることがあります。それを治ったと誤解して放置している間にじわじわとがんが進行してしまうので、調子の悪い時に我慢せず受診することは本当に大事ですね。大学病院は、クリニックでは対応の難しい大きな腫瘍やリスクの高い病変の患者さんを紹介していただき、高度な検査や治療を提供します。治療後、しばらく大学病院でフォローアップしますが、内服や様子見だけでいい状態になったら、逆紹介という形で元のかかりつけの先生に患者さんをお返しして、その後の様子を診ていただくようにしています。

クリニックと大学病院を使い分けるメリットとは?

クリニックで適切なスクリーニングをすれば、一人ひとりの患者さんがそれぞれの症状に応じた適切な医療を受けられるようになるので、患者さんにとっても医療機関にとってもメリットは大きいと思います。
たしかにみんながみんな大学病院に来てしまったら、それこそ3時間待ちの3分診療になってしまうかもしれません。最初に診てもらうのが近所のクリニックなら、大学病院に比べて検査や診察に時間がかからないし、近くて通いやすいという点は患者さんにとって大きなメリットなのではないでしょうか。また、クリニックで紹介状を書いてもらって大学病院を受診すれば待ち時間も少なくて済み、初診時に選定療養費をお支払いいただく必要もなくなります。

病気の早期発見は身近なクリニックで、
専門性の高い治療は大きな病院で

  • 田川先生
  • 箱田先生

黒木先生が所属する西部病院の消化器内科ならではの治療について教えて下さい。

前任地の昭和大学藤が丘病院では臓器別に部門が分かれていて、私は大腸のグループに所属していた関係で、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)や潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患などを得意としています。西部病院に赴任してからは、炎症性疾患に対応する目的でカプセル内視鏡や、バルーン内視鏡を導入し、小腸の病気の診断と治療にも対応できる体制を整えました。西部病院では4月から「消化器肝臓内科」から「消化器内科」と名称変更したのですが、肝臓疾患に強いだけでなく、消化器疾患全般に強いということが伝わると嬉しいですね。
このあたりで小腸の患者さんをお願いできるのは黒木先生しかいなかったので、近くの西部病院にお願いできるようになって本当に助かっています。私は、どうしても診断がつかないという時、「ごめんなさい、私にはわからないんですけど患者さんが痛がってるので診てください」って正直に言ってお願いすることもあります。
私は田川先生のようにわからないことをわからないと正直に言える医師は信頼できると思っています。危険を察知出来る能力というか、臨床的に「何かおかしい」と思えることはすごく大切です。以前、別のクリニックの先生ですが、十二指腸潰瘍が全然治らず、体重もかなり落ちていて気になるので調べてほしいとご紹介いただき、検査したらクローン病だったということがあります。すぐに免疫を抑える薬を投与したところ、体重も一気に増えてみるみるよくなりました。医師といえども、自分が診たことのない病気だと、すぐには診断つかないこともあります。特に薬の効きのよくない炎症性腸疾患を診断できる施設はまだ少ないので、ステロイドを使っても効果がないとか、患者さんの状態が悪くなる一方だというような場合は早めにご相談ください。

田川先生は内視鏡のエキスパートとしてどのようなことを心がけていますか?

私が昭和大学の医局に入った時、1番最初に言われたのが「人生初の内視鏡検査は、絶対に辛い思いをさせない」ということでした。最初に辛い思いをしてしまうと、その患者さんは内視鏡検査を受けようとは思わなくなってしまうからです。当院では、患者さんに辛い思いをさせないよう、鎮静剤を使ってうとうとしている間に検査を終わらせるようにしています。苦痛を感じることなく、大学病院やがんセンターと同等レベルの内視鏡検査を行い、しっかりと診断していきます。胃カメラ検査では喉(下咽頭)や食道、十二指腸も併せて観察できるため、胃がんや胃潰瘍だけでなく、十二指腸潰瘍、食道がん、咽頭がん、喉頭がん、逆流性食道炎などの早期発見も可能です。手術や入院を伴う治療が必要と思われる場合は、黒木先生方のように高度医療に対応していただける医療機関にお願いします。
当院では田川先生の見立てには絶大な信頼を寄せているので、田川先生から「おそらく虫垂炎の患者さんが行きます」と連絡が来たらCTの準備や万が一の手術のために外科の先生にも連絡をして、入院用のベッドまで押さえて待機しています。すでに信頼関係ができているので、いざという時の連携がとてもスムーズなんですよね。また、西部病院は内科と外科の医師同士のコミュニケーションが密に取れているので、必要とあればお互いの科が即日受診可能です。病気を抱えた患者さんを最短で治療におつなぎできるようなシステムを整えています。
内科と外科の連携がスムーズというのは、西部病院ならではの強みですね。素晴らしいことだと思います。

病院連携をスムーズにするためにどのような工夫をしていますか?

私は黒木先生にお願いして、去年、西部病院を見学させていただきました。その時に消化器内科の他の先生にもご挨拶させていただいて、直接顔の見える関係を築けたことでぐっと紹介しやすくなりましたね。それと診療情報提供書(紹介状)には、信頼していただける診断を書くのはもちろん、私はそれ以外にも治療のキーマンや家族背景などもできるだけ詳しく書くようにしています。
患者さんへの病名告知や対応はこちらもとても気を遣う場合があるのですが、治療に対する患者さんの考えやご家族の思いなどが事前にわかれば、より患者さんの気持ちに寄り添った対応ができるので、田川先生のように詳しく書いていただけるのは本当にありがたいですね。ほかにも、「Aだと思うけれど、もしかしたらBかもしれない」といった微妙なニュアンスも書いていただけると、新たな診断のヒントにつながることもあります。ほかにも診療情報提供書への返信で、検査結果だけでなく、「具体的な対処法や、次回からはもっとこうすれば良いかも」など、形式的なやりとりだけではなく一歩踏み込んだ情報を提供し合うことで、お互いステップアップできるし、結果として地域医療の底上げにつながるのではないでしょうか。

すべては患者のために。
顔の見えるつきあいを通じて、地域医療の底上げをめざす

先生

地域医療の底上げに向けて、それぞれの立場で尽力されているのですね。

西部病院には医師の「働き方改革」を推進しようという動きがあります。医師が診療やスキルのアップデートに専念できるよう、事務作業などを効率よく手伝っていただけるシステムは、われわれ医師だけでなく、結果として患者さんにも還元されると思っています。今後、病院としてさらに推進していく方針なので、若い先生方、特に内視鏡を学ぼうとしている先生方に、ぜひ私たちと一緒に多くの症例に携りながらステップアップをめざしましょうと伝えたいですね。随時募集中なので、いつでも見学や相談に来ていただけると嬉しいですね。
西部病院はいろんな面でレベルアップしていますよね。それに対して、私たちクリニックの医師もしっかりレベルアップしていかねばということを日々痛感しています。ともにレベルアップしながら連携することは患者さんのためにもなるし、地域医療の底上げという面でもものすごい力になると思います。

最後に、今後の展望と地域のみなさんへメッセージをお願いします。

今日、田川先生に呼んでいただいて、改めて病診連携の重要性を痛感しました。特に顔の見える関係というのは大切ですね。大学病院というと敷居が高いように感じてしまうかもしれませんが、西部病院は全然そんなことないし、ぜひ気軽に相談していただきたいと思います。コロナが収束したら、田川先生のように直接交流できる機会があると良いですね。医師同士、顔の見えるおつきあいができるようになることは、なによりも患者さんのためになるのではないでしょうか。
地域医療って、病気を早期発見するクリニックと高度な医療を提供する病院の両方が機能してはじめて成り立つものだと思います。病診連携はどちらか一方がすごいだけではダメで、互いに切磋琢磨し合いながら連携していくことが大切だと思います。今はコロナで医師同士もなかなか顔を合わせる機会がありません。だからこそいろんな形で情報発信しながら、地域みんなで瀬谷を健康な街にしていきたいですね。正しい情報をわかりやすく伝えることで健診、特に40~60代の働き盛りの世代の方達の健診受診率を上げ、がんや心筋梗塞、脳梗塞などいわゆる3大疾病の予防につなげられればと思って始めた対談ですが、これからも思いを同じくする地域の医療従事者との連携を強化していけたら嬉しいですね。

先生

取材を終えて

対談企画だけではなく、動画での発信も始められたという田川先生。さらに西部病院を訪問したり、博士号を取得したり、日々活動の幅を広げられていることに驚きました。そんな田川先生が慕う黒木先生の気さくなお人柄や、西部病院の雰囲気の良さ、病診連携に向けた真摯な姿勢をお聞きできてよかったです。高度な医療を提供する大学病院の存在は大きな安心材料ですが、それだけではなく、病気の早期発見と必要に応じて専門機関とスムーズな連携がとれるクリニック(かかりつけ医)をもつことの重要性を痛感しました。

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