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「頼れる瀬谷のお医者さん」シリーズ第3弾
<消化器内科医と薬剤師による対談>|
横浜市瀬谷区の田川クリニック

Interview

病気の治療や健康維持に欠かせない薬について、効能や正しい飲み方をどれだけの人が理解できているでしょう?また、薬の服用を勝手に中断したらどのようなリスクがあるのでしょう?そんな薬に関することは、かつて“町の科学者”と呼ばれていた薬剤師に相談するのが1番と語る「田川クリニック」の副院長、田川徹平。「瀬谷の健康を守るため、1人でも多くの医療者を巻き込み、共感の輪を広げていきたい」と願う田川とともに、目からうろこの“今どきの薬局の活用術”について、「心美堂薬局」の石田七瀬先生と「平本薬局」の清水武先生に詳しくお聞きしました。
(取材日2021年11月17日)

  • 清水先生平本薬局
     清水武先生
  • 田川先生田川クリニック
    副院長 田川徹平
  • 石田先生心美堂薬局
     石田七瀬先生

薬剤師は、医師にも頼りにされる薬のプロフェッショナル

お二方とも瀬谷の町に根ざした歴史ある薬局と伺いました。

心美堂薬局は田川クリニックのすぐ近くにあり、田川先生のお父様の代から30年近いお付き合いになります。親子代々、家族で利用してくださる患者さんが多く、お互いに顔を見るだけで「久しぶり!」と、おしゃべりに花を咲かせてしまうようなアットホームなご近所づきあいをさせていただいています。
平本薬局は今から30年以上前、今のように瀬谷の駅前にクリニックやドラッグストアが並んでいなかった頃に創業し、町の歴史とともに歩んできました。今では区内に5店舗をかまえ、30人ほどの薬剤師が在籍しています。瀬谷区内にとどまらず、さまざまな医療機関からの処方箋を受け付けています。
平本薬局さんは、置いていない薬はないんじゃないかというくらい薬の在庫量がすごいんです。まさに瀬谷の薬どころといってもいいかもしれません。

医療において、医師と薬剤師の連携は不可欠なのですね。

薬剤師ってどんな仕事するのかって聞かれたときにちゃんと説明できる人って少ないと思うんです。もし、医師の出した処方箋通りの薬を出すだけだと思ったら大間違い。例えば投薬治療が中心の患者さんに対して、薬の飲み合わせに問題ないか、薬をきちんと飲めているかなど重要な情報はたくさんあります。しかし、クリニックの限られた診療時間内でそれらをすべて説明することはまず無理です。日本で使える薬は医師の処方箋を必要とする処方薬だけでも約1万4000(注:令和3年5月 医薬品情報データベース検索結果より)。私は自分が専門とする内科の薬のことは一通り勉強していますが、すべての薬に精通しているわけではありません。薬のことは薬のプロ、薬剤師さんに聞くのが1番だと思い、今回の座談会を企画しました。

地域に根ざした薬局として、どのような役割を担っているのでしょうか?

薬剤師は処方箋をただ「見る」のではなく、「読み」ます。これまでの薬歴と照らし合わせて、薬の重複はないか、アレルギーや飲み合わせの悪い薬がないか等をチェックし、場合によっては先生にお薬を変えたり減らしたりしてもらうこともあります。また、本人はちゃんと飲んでいると言っていても、ご家族から「実は前回の薬がまだたくさん残っている」とお聞きすることもあるので、患者さんやご家族と世間話などをしながら、お困りごとはないか丁寧に拾い上げるよう心がけています。
患者さん本人だけでなく、ご家族のことなど生活背景がある程度わかるので、若い患者さんに認知症の薬の処方があった時、(これは家族の分だろう)とか(何かおかしいぞ?もしかしたらよく似た名前のこっちの薬のことかも)と、些細なことにも気づきやすいというメリットがありますね。また、薬の管理をできるキーパーソンを把握できるため、残薬のチェックや患者さんの体調の変化をより確実に把握しやすいこともあげられます。うちは栄養士による無料の栄養相談なども行っていることから、地域の健康ステーションとして、薬以外のことにも幅広く対応しているので、気軽に健康相談に利用される方も増えてきています。
よかれと思って1錠で済む薬を処方したところ、患者さんからしたら大きすぎて飲みづらいようだと薬剤師さんに言われて、それだったら無理に1錠にせず小さいもの3錠にしておこうとなったことがありました。また、お薬手帳や紹介状がないと、医師は患者さんが他院でどのような薬を処方されたのか知る術がありません。窓口を1つの薬局に絞っていただければ、薬に関して総合的なチェックをしてもらうことが可能になるので、医師としても安心ですね。「実は今回の薬はあまり効いていないような気がする」と薬局でぽろっと話したことが医師の耳に入ることで、より効果的な治療を考えるきっかけになることもあります。医師と薬剤師の連携がしっかりとれているエリアは、医療面で期待できると思います。

身近な健康アドバイザーとして薬剤師を活用する

  • 石田先生
  • 清水先生

服薬コンプライアンスについて教えて下さい。

服薬コンプライアンスとは患者さんが医師の指示通りに服薬することで、服薬遵守ともいいます。これが意外ときちんとできないもので、1番多いのが薬の飲み忘れ。特に昼の薬を飲み忘れてしまうケースは非常に多いですね。また、喘息の吸入薬は正しく吸入できているかいないかで、効果に大きな差が出ます。自分では吸入しているつもりでも、実はちゃんとできていなかったというケースも少なくありません。
病院でも一通りの薬の説明を受けると思いますが、薬局でも患者さんがしっかり理解できるよう丁寧な説明を心がけています。高齢の患者さんの場合、投薬を管理できるご家族がいれば協力していただけますが、そうでない場合、うちではお薬の説明書(薬剤情報提供文書)を見ながら患者さんにとってわかりやすい言葉に置き換えて説明し、さらに薬の袋に要点を書いたメモを入れるようにしています。
うちは薬の説明書を印刷した紙を折って薬を入れる袋にしています。薬を飲むたびに薬の飲み方と効能が自然と目に入るので、より確実により正しく服用していただけるかなと工夫しました。患者さん目線で工夫することで、専門性の高い情報を、いかにわかりやすく伝えられるかを大切にしています。

医師の処方通りに薬を服用できていないと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

我々医師は患者さんがきちんと薬を飲んでいることを前提に治療効果を評価します。なので、きちんと服薬できていないと正しい評価ができず、今の量では不十分と考えて必要以上の薬を処方したり、場合によっては効果が現れないどころか症状が悪化したりするリスクがあります。
高齢になると内科や整形外科、皮膚科など通う科が増え、1日に何十錠も服用している患者さんもいらっしゃいます。毎日大変かもしれませんが、自己判断で数を減らしたり、飲むのをやめてしまったりしないでくださいね。薬を飲み忘れると医療費がかさむだけでなく、病気によっては失明のリスクが高まったり、脈拍が不安定になったり、脳卒中のリスクが高まったりすることもあります。日々新しい薬や治療法が生まれる中、私たち薬剤師も一生懸命勉強をしていますので、気になることやお困りごとがあれば、気軽に相談していただければと思います。
「薬を飲んでも全然眠れない」という相談を多くいただきますが、人間の体って高齢になって代謝が下がってくると若い時ほど睡眠を必要としなくなるようになっているんです。なんでもかんでも薬に頼るのではなく、本当に必要な薬や守ってほしい服用方法、保管方法など正しい情報を伝えるよう心がけています。

薬剤師は身近な健康アドバイザーでもあるのですね。

当院では管理栄養士による食事指導に力を入れています。今は、食事の管理をきちんとするだけで薬の量を半分に減らすことも不可能ではありません。薬の量を半分に減らすことができれば、副作用の問題も医療費の問題も解決できてしまいます。売上は落ちてしまうかもしれないけれど、医療者としてそこは真面目に取り組みたいと思うし、そのために薬のプロである薬剤師さんの協力を得られれば、医師も患者さんも本当に心強いと思います。
私たち薬剤師は患者さんにとって、いつでも気軽に相談できる身近な医療者です。わざわざ仕事を休んで通院するほどではないけれど、風邪のひきはじめなどに市販の風邪薬を買う前に、かかりつけの薬剤師に相談していただけたら、よりその方の体質や症状に合う薬のアドバイスができるかもしれません。
当店ではSNSを活用した処方にも対応しています。来店前に処方箋の写真を撮ってスマートフォンから送信すれば、薬局での待ち時間を大幅に短縮できるので患者さんからも好評です。薬の量だけでなく、さまざまな面から患者さんの負担を軽減するお手伝いができればと考えています。

かかりつけ薬局ならではの手厚いサポートとチーム医療

田川先生

かかりつけ薬剤師について教えて下さい。

かかりつけ薬剤師は2016年に始まった制度で、薬による治療のことや健康や介護に関することなど豊富な知識を持ち、さまざまなニーズに対応する薬剤師のことをいいます。主な役割は、「薬に関する情報の一元化と服薬の管理指導」「医療機関との連携」「24時間対応」「在宅対応」などです。かかりつけ薬剤師の資格をとるためには、薬剤師としての豊富な知識と経験に加え、医療に関わる地域活動に参加していることなど厳しい条件があり、地域に密着した専属アドバイザーとしてよりきめ細やかな対応が求められます。当院には4名のかかりつけ薬剤師が在籍し、休日や夜中など24時間体制で薬の副作用や急な発熱などの相談に対応しています。

かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局をもつメリットとは?

ご家族が遠くに住んでいるなどの理由で、いざという時身近に相談できる人がいない場合、24時間いつでも相談できるかかりつけ薬剤師というのは、めちゃくちゃ心強い存在ですよね。あと、面と向かって医師に本音をいえない方って意外に多いんですよ。薬の量が多すぎて全部飲めないとか、前の薬の方がよかったとか、気になることを気軽に言える薬剤師さんの存在は、医師にとってもありがたいですね。
かかりつけの薬剤師や薬局を選ぶ条件はいろいろあると思いますが、自宅や最寄り駅の近くや、かかりつけ医の近くを選ばれる方が多いようです。かかりつけ薬剤師(薬局)をもつメリットは、かかっているすべての医療機関や服用している薬を一元管理してもらえること。私は、お互い気心の知れた信頼関係を築くことで、薬をお渡しした後の様子を見守り、患者さんの様子やお困りごとを処方医に伝えたり、残薬の確認や健康相談などに応じたりしています。薬代の負担を減らしたいという方には、ジェネリック医薬品の紹介をすることもあります。生活背景も含め、自分のことをより深く理解してくれる健康長寿のための専属アドバイザーと思っていただけたら嬉しいですね。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

かかりつけ薬剤師はまだ始まったばかりの制度で知らない方も多いかもしれませんが、地元の薬局ならではの柔軟な対応ときめ細やかなサポートを心がけています。365日24時間体制での電話対応だけでなく、患者さんに対する深い理解にもとづき、本当に必要としているサービスを提供することで、地域医療に貢献できればと考えています。
一人ひとりの患者さんに合わせてより理解しやすい伝え方を考え工夫できるのも、日頃からご近所づきあいをしている薬局だからこそできる対応だと思います。食事制限をしている方の数値が下がった時は、「あなたは素晴らしい患者さんです!」と一緒に喜び、「こんなにたくさんの薬を飲むのは大変」とお困りなら医師に伝えて改善策を考えます。でも、お薬も大切ですが、1番の薬は毎日の食事です。旬のものを取り入れた食事と1日1回はお腹の底から笑うことをみなさんにおすすめしています。
今は自覚症状がなくても、糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病は、確実に若い世代にも増えてきています。今後の地域医療は高齢者の健康を守るだけでなく、若い世代の病気を防ぎ、健康を守っていくことも重要課題です。ちょっと調子が悪くてもなかなか仕事を休んでまで受診できないという働き盛りの方達の健康管理や受診のハードルを下げることも大切ですが、病院よりも気軽に相談できる、あるいは待たずに済む薬局は町の健康スポットとしてますます重要になってくると思います。専属の健康アドバイザーとして薬局を活用する機会が増えれば、もしかしたら重篤な病気の早期発見につながるかもしれません。医師と患者さんをつなぐ身近な架け橋として、これからも連携を密にしながら、ともに瀬谷の健康を守っていければと思います。

田川先生

取材を終えて

石田先生と清水先生の話を伺い、かかりつけ薬剤師(薬局)をもつことのメリットが想像以上に多くて驚きました。かかりつけ薬剤師をお願いすると、1度の処方につき「薬剤服用歴管理料」の代わりに「かかりつけ薬剤師指導料」として60~100円(3割負担の場合)かかるとのことですが、わずかこれだけの費用で自分専属の健康アドバイザーがつくと思えば、かなりお得な制度ではないでしょうか。体調を崩しやすい小さなお子さんのいるご家庭や、高齢の親御さんの薬の管理が気になる方にとって、いつでも気軽に相談できるかかりつけ薬剤師(薬局)の存在は大きな安心につながるはず。これからは、近所の薬局に気軽に足を運び、顔見知りの関係を築いていきたいなと痛感しました。

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