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「頼れる瀬谷のお医者さん」シリーズ第1弾
<消化器内科医と眼科医による「糖尿病」対談>|
横浜市瀬谷区の田川クリニック

Interview

田川クリニックの副院長、田川徹平による「頼れる瀬谷のお医者さん」第1回目のゲストは、「伊勢ノ海眼科」の院長、伊勢ノ海一之先生。一見かけ離れているように見える内科と眼科ですが、実は深い関係があるのです。それは、「糖尿病」。瀬谷における医療連携を考えていく中で、「内科と眼科は切っても切れない関係にあります」という田川と、「田川先生は瀬谷区の医師会で最年少ながら、すごいと思っていました」と微笑む伊勢ノ海先生。お互いのクリニックまで徒歩7分という距離もさることながら、信頼関係を育みながら医療面で協力し合ってきたというお二人に、『糖尿病における内科と眼科の連携医療』についてお聞きしました。
(対談日2020年12月11日)

  • 田川先生田川クリニック
    副院長 田川徹平
  • 伊勢ノ海先生伊勢ノ海眼科
    院長 伊勢ノ海一之先生

糖尿病は、自覚症状が出る前の早期発見が大切

糖尿病とはどのような病気なのでしょうか?

簡単にいうと、糖尿病は血糖値が下がらなくなる病気です。初期は殆ど自覚症状がなく、気付かないうちに進行して全身の血管を劣化させ、動脈硬化を起こすことで、心筋梗塞や脳梗塞につながることもあります。いわゆる生活習慣病とされるのは2型糖尿病で、主な原因は食べすぎや運動不足などの「よくない生活習慣」。もし、同居の家族に糖尿病の方がいたら、食生活の傾向が似ているので注意が必要です。

内科と眼科の立場から糖尿病の合併症について教えてください。

高血糖の状態が数年以上続くと、糖尿病特有の合併症へとつながります。人工透析が必要な「糖尿病性腎症」、手足が腐ってしまう「糖尿病神経症」、失明につながることもある「糖尿病網膜症」を3大合併症と呼びます。その後の人生を変えるほど深刻なものなので、少しでも早く見つけたいですね。
外部情報の約8割を担っている眼は、快適な人生を過ごすために重要な器官です。「糖尿病網膜症」は、30年ほど前は中途失明の原因の第1位でしたが、内科・眼科の治療の進歩や連携強化の成果により、定期的に内科・眼科にかかり適切な治療を受けていれば失明する可能性はほとんどないといえるまでになりました。ただ、糖尿病が見つかっても、初期の段階では視覚に関わる自覚症状が殆どないため、内科に通っていても眼科には通っていないという患者さんも少なくありません。自己判断で通院をやめてしまうと、突然視力が下がり、眼科を受診した時には糖尿病網膜症がかなり進行してしまっていることもあります。

どのような検査や治療をするのでしょうか?

糖尿病は定期的に検査しながら、内服薬や食事指導、インスリンの管理などを継続的に行っていきます。具体的には血液検査、血管年齢を調べる検査などを行い、軽ければ食生活の改善だけで済むこともあります。また、当院には管理栄養士がいるので、患者さんやお母さん達に対して、食事のアドバイスも行っています。食事を作る方に直接指導をすれば、家族みんなの健康につながります。血糖値をうまく管理しながら薬を減らせた時は、患者さんと栄養士が一緒に喜んでいますね。
糖尿病網膜症の検査は、眼底検査を行い網膜の状態を観察します。また、網膜症の状態をより詳細に把握するために網膜の断面を映し出す光干渉断層計(OCT)や、蛍光色素を持つ造影剤を静脈注射して、網膜血管を撮影する蛍光眼底造影検査を行う場合があります。治療は、初期の場合は血糖値のコントロールで進行を抑え、進行した場合はレーザー治療、抗VEGF治療、硝子体手術などがあります。いずれも適切なタイミングで行うことが大切です。食事制限は基本的、かつ重要な治療です。男性は、食事制限をしなさいと言われても具体的にどうすればいいのかが分からないことがあるので、料理を担当しているご家族を巻き込んで治療をサポートする田川先生の発想は素晴らしいと思います。

かかりつけ医だからできる、包括的サポート

  • 田川先生
  • 伊勢ノ海先生

病院とクリニックでは役割が違うのですね。

がんセンターや大学病院に勤務していた頃は内視鏡での手術がメインだったので、がんなど診断がついた患者さんをいかに手術せずに治すかが主軸でした。一方、クリニックに来られる患者さんはその一歩前で介入することになるため、手術を防ぐのはもちろん、日帰りで治療出来る“より早い段階”で見つけて治すことが主軸になっています。より少ない負担で治療を受けていただくため、内視鏡検査も内科治療も、 “早期発見・早期治療”のウェイトが大きくなった印象ですね。
大学病院に勤務していた頃は、私も多くの手術を執刀させていただきました。だからこそ、開業医になった今は、適切なタイミングで大学病院に患者さんを紹介することを心がけています。かかりつけ医は患者さんにとって1番身近な存在。小さな異変に最初に気付き、患者さんにとって最善の選択肢を提案するという重要な役割をもっています。大きな病院で多くの経験を積んで来た医師が、開業後に“かかりつけ医”としてよい仕事をすることが、地域医療の底上げにつながるのではないかと感じています。

かかりつけ医ならではの治療のメリットについて教えてください。

病気を治していく上で大切なのは、病気のことや自分の体の状態について正しく知ることです。特に糖尿病網膜症のように長く付き合う病気の場合は、患者さんが治療を頑張ることに疲れてしまう場合もあります。なぜそうなるのか、なぜ治療が必要なのかということをきちんと理解することが、治療を続けるモチベーションにつながります。その点では、地元のクリニックなら何度も通うので、自然といろいろな話もするし、質問もしやすいのではないでしょうか。患者さんとコミュニケーションをとりやすいというのは、かかりつけ医ならではのメリットだと思います。
お互い気心の知れた関係というのは大事ですよね。当院は父の代から通ってくださる患者さんも多く、みなさん世間話をしに来ているようなところもあります。雑談をしていると、「そういえば最近よく眠れない」というような話が出てきて、診断のヒントになることもあるんですよ。同じ病気でも、患者さんの考え方や家庭環境などによって、最善の治療法やタイミングが変わります。些細なことでも気軽に話せる関係は、きめ細かなサポートをする上で本当に大切だと思います。診断をするところからお看取りをするところまで、患者さんの人生をサポートする立場にあるのが、地元のかかりつけ医だと感じています。

根っこにあるのは地元愛。定期受診で幸せのチェックを

先生

定期検診を受けることは大切なのですね。

病気の早期発見・早期治療は、体の機能を維持するためにも大切です。1度も健康診断を受けたことがなく、内科にもかかったことがないという方が、たまたま眼科を受診して糖尿病が見つかるケースもありますが、気付かないうちに糖尿病が進行してしまうケースは少なくありません。寿命が伸び、健康寿命が重要と考えられている今の時代に「長年医者知らず」は少し心配です。なんともない時に、医師に健康状態を確認してもらうことで回避できるリスクがあります。
2、30代の若い方は、検査で悪い数値が出ても運動不足のせいだろうと軽く考えて、再検査も受けない方が多いですね。でも、生活習慣病以外の病気が隠れている可能性もあるので、医師のチェックは必ず受けてほしいと思います。仕事や育児、介護で忙しいとは思いますが、瀬谷区は横浜市の中で、がん検診の受診率が特に低い地域です。検診制度を使えば無料から数千円で検査が受けられるので、ぜひ利用していただきたいですね。それと、内科で眼科を紹介されたら、必ず受診してください。その点、伊勢ノ海先生の眼科クリニックなら、当院から歩いて駅に戻る途中にあるので、移動も楽だと思います。
田川クリニックさんとは、田川先生のお父様の代から患者さんのフォローで連携させて頂いています。田川先生とは瀬谷区の医師会でも定期的にお会いしているので、患者さんのことなどもよくお話しします。地域の他の科の先生と連携することで、総合的な診断が可能になります。地域の開業医がそれぞれの専門性を活かしながら連携し、総合病院のような役割を果せればいいなと思っています。

今後の展望をお聞かせください。

内科の専門医として栄養カウンセリングや内服管理を含めて生活習慣病をしっかり管理することで、糖尿病だけでなく、高脂血症や高血圧もコントロールできます。さらに胃がん検診や大腸がん検診を受けていただければ、胃がんや大腸がんで亡くなる方が減るかもしれません。10年後、20年後に「瀬谷区って、心疾患や脳疾患で倒れる人が少ないね。そういえばがんで亡くなる人も少ないよね」と言ってもらえるよう頑張りたいですね。そのためにもクリニック同士の連携を強化して、患者さんに“上手く使って欲しい”と思います。
「安全、安心、眼のホームドクター!」をモットーに、白内障手術や緑内障治療をはじめ、地域のみなさんに安心して頂けるより良い眼科医療を提供していきたいですね。私にとって生まれ育った横浜で地域医療に携われるのは、とても幸せなこと。中でも瀬谷は自然豊かで人情味あふれる大好きな町。これからも全力で瀬谷の地域医療に貢献していきたいと思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

40歳を過ぎたら年に1度は健診を受けてほしいですね。若いうちは健康なのが当たり前と思うかもしれませんが、体には確実に加齢的変化が出てきます。私自身、日頃健康には留意して生活していますが、健康診断の結果が正常だと嬉しくて小さくガッツポーズします(笑)。これまでは病気を治すという事が医療の主流でしたが、これからは病気になる前に早めに医師のサポートを受けて健康な状態を維持していく予防の時代です。ぜひ、健康であるということの「幸せのチェック」をする感覚で、気軽に健診を受けて頂きたいですね。
「幸せのチェック」って本当にいい言葉ですね。私たち開業医は、常に地域の健康のために何ができるかを考えています。根っこにあるのは地元愛。私一人でできることには限界があるので、他の先生方と協力し合いながら、瀬谷区の医療の底上げをして、地元のみなさんの健康寿命を延ばせるよう頑張っていきたいですね。地域の健康を守ることで、瀬谷をさらに魅力的な街へ発展させる後押しが出来たらいいなと思っています。

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